アクロバティック0.75

アクロバティック0.75 第17話(ひろこ)

理由さん、こんにちわ
ひろこです
前回のメールでは随分失礼なことを書いてしまいました
本当にごめんなさい
所詮、アタシたちは数度ばかりメールをやりとりしただけの間柄
隠しごとなんてあって当たり前、というか、すべてを曝け出す必要なんて、はじめからなかったんですよね
自分の愚かさ、傲慢さをひしひしと感じています
「理由」という言葉に過剰な反応を示していたのはアナタではなく、やはりアタシの方だったようです

アナタからの返信を読んで思いました
アナタはとても落ち着いている
達観しているとさえ言ってもいい
そんなアナタが自殺を考えているなんてよほどのことがあったのでしょう
それこそ他人には容易に話せないほどの・・・
もしかしたらアタシの抱える問題なんて、アナタのそれに比べたら些末なことなのかも知れませんね

いずれにせよ、アタシは今もこうして生きている
それは何故なのか?
アタシに自ら死を選ぶ勇気がないということもあります
でも、それ以外にもうひとつ、辛い時に決まって考えることがあるからなのです
それは・・・
「欲」をもたないようにしよう、と思うことです
欲望さえもたなければ、不満も絶望も憎しみも生まれない

もちろん、それは理想に過ぎません
出家でもしないかぎり無欲の境地に達するなんて不可能なことでしょう
でも、「アタシは何も望まない!」そう強く念じることで少しは気持ちが軽くなるのもまた事実です
これは、決して「特効薬」なんかじゃなく、「痛み止め」程度の効き目しかありませんが、臆病なアタシが考えた唯一の逃げの一手なんです
だからといって、これをアナタにオススメしているワケではありません
自ら死を選べる勇気をもっているアナタには、こんな一時的な「痛み止め」なんて必要ないハズなのですから
アナタは「死」という名の「特効薬」をいつでも使う用意がある
そんなアナタが正直少し羨ましいです


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