アクロバティック0.75

アクロバティック0.75 第38話(棒太)

こんばんわ、理由さん。
えーと、今日は僕が死にたいと思った理由について書きます。
人間、自殺するにはいろんな理由がありますよね。
僕の場合は人間不信でした。

僕は今年某証券会社に就職したばかりの新入社員です。
そこでの人間関係がこれまたサイアクでして、特にも上司のH(って前に本名晒しちゃったけど)がひどいんです。
客からのクレーム、全部僕のところに回してくるんですよね。新人だから対処の仕方もわからない。同期の同僚も何人かいるんですが、なぜか彼らにはそんな嫌がらせは一切しない。僕ひとりを集中攻撃です。損な役回りはみんな僕のところに持ってくる。
この間なんて、Hが自分でやったミスを僕に押しつけといたくせに、責任とれ!やめちまえ!って社員の面前で怒鳴られてしまいました。どうして僕ばかりがこんな目にあわなきゃならないのか。
たまらないです。

それと大学時代から付き合っていた彼女(分かってるでしょうが一応Kとしておきますね)がいるんですけど、どうも浮気しているらしい、というかもうそっちのほうに気持ちが傾いているというか、ああ、むしろ僕のことなんてなんとも思ってないようなんですよ。それならそれで別れようってひとこと言ってくれればいいじゃないですか。でも、Kは言わないんですよね。自分はいい子でいたいんですよ。ずるいんですよ。Hに怒鳴られたその日に、苛立っていた僕はつい彼女に軽い嫌味を言ってやったんです。そしたら逆ギレされちゃって……
やりきれないです。

で、いろいろ考えてみたんですよ、落ち着いてね。
要するに僕が悪いんだなって結論に達しました。
僕は言いたいこともいえない。
おどおどしていて、人の顔色ばかり窺って、そのクセ、ネット上では高圧的な態度をとってみたりして「棒太」という別の人格を演じてみせる。
最初、F××のサイトで理由さんのカキコ見て、これはイイと思ったんです。
そもそも、こんな弱くて情けない男が自殺なんかできるわけないんです。
でも、自殺者を演じることはできる。つまり狂言自殺です。
あわよくば理由さんを共犯者にして、自分は死んだことにしようなんて浅ましくも画策していました。
もちろん目的は復讐です。
HとKへの恨みつらみを遺書にしたためて、マスコミにでも送りつけてやれば彼らの社会的地位を奪うことが出来る、そう考えていたんです。
つくづく、ダメ人間ですね、僕は。
上司につけいられたり、彼女に見切りをつけられるのも無理はない。
死んだほうがいいんです、僕なんか。
理由さん、僕は今、本気で死にたいです。
もはや僕には生きる価値なんてないんだ。

理由さん、僕を助けてください。
生きる苦しみから開放してください!
結局最後は他人を頼るしかない。自分ひとりではなにもできない。死ぬことさえ出来ない僕に引導を渡してください。お願いします。


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