アクロバティック0.75

アクロバティック0.75 第71話(山勢修三)

 こんばんは、山勢です。
 昨日はお招きいただきありがとうございました。

 死にたいほどの痛みをあなたが抱えていること、私には充分すぎるくらいに伝わりました。
 しかし、あなたの本心はそこにはない。
 あなたに会って初めて確信が持てました。
 正直、初めの頃は、心中なんて甘えたことを言っている。なぜ自殺するのに仲間を集める必要がある。
 ―――と、少々憤りを感じていたのです。
 ですが、あなたは本当に死にたかったわけではない。
 むしろ、生きたかった。
 でも、今の苦しみには耐えられない。
 誰かにとめて欲しい。
 あのF××サイトへの書き込みは、あなたの心の叫び。泥沼に沈みそうな自分を救い上げて欲しくて、手を伸ばしてもがいていたのですね。
 あなたの苦しみ、所詮は当事者にしか理解できないことなのかもしれません。
 実際のところ私はあなたと同じ苦しみを味わったことはない。
 しかし、私だって生きている。
 生きていて良かったと心から思っている。
 だから、負けないで。
 これからも微力ながら力になりたいと思っています。
 とはいえ、私にできることといったら、今はただ「ガンバレ」と励ますことだけなのですが―――

 家庭の問題はとてもナーバスなものです。職業柄、第三者の視点で数多く垣間見てきました。あなたのような苦悩をもった人間を何人も知っています。
 教師という仕事は、ひとりひとりの子供に深く関わっていては、身が持たないものです。
 それでも私は少しでも子供たちに深く関わっていこうと努力しています。
 救世主になったつもりではありませんが、私の力で少しでも一人でも誰かが救われるのなら、それだけでも私が生きている価値になると思うのです。
 しつこいようですが、私は決してあなたを見捨てたりはしません。必ずあなたを救います。

 余談になりますが、「しんじゅー組」の皆さんは誰ひとり本気で死のうなんて思っている人はいないようです。
 チャットで話すかぎりにおいては、「仮想自殺同好会」かなにかと捉えているやに思います。
 誰も心からあなたの心配などしていない。
 まあ、それがコミュニケーションツールとしてのインターネット世界の限界なのかもしれません。
 世界中の人たちの交流ははかれるが、心まで通わせるほどの間柄にはなれない。つまり、広く浅くということです。
 もちろん、それを否定するつもりは毛頭ありません。むしろこの世界はそれで良いと思っています。
 不遜な発言であることは覚悟の上で言わせていただきます。
 「しんじゅー組」の中で、あなたを心から心配しているのはおそらく私だけです。
 面白おかしくあなたを焚きつけている人もいるようですが、そんなものには惑わされないでください。

 またいろいろ書いてしまいました。
 理由さん、今度はうちに遊びに来ませんか?
 大したもてなしはできませんが妻の手料理でもご馳走します。
 家族は宝物です。本当にいいものですよ。
 それでは、また。


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