アクロバティック0.75

アクロバティック0.75 第82話(山勢修三)

 山勢です。
 やっぱりあいつだったんですね。
 私はあいつに一度会っただけ。あいつのことはほとんど知らない。
 しかし、あなたを見るときのあいつの目はまともじゃなかった。これでも人を見る目は確かなつもりです。だから、私の見立てに狂いはないと思います。

 昨日は私なりに調べてみるなどと書きましたが、一体この私に何ができるというのか。
 そう思うとしばし途方にくれてしまいました。少し弱気になりました。
 あいつはチャットではあまり自分のことを話していませんでした。オフ会では、競馬、パチンコに興味を持ち、新谷某とかいうタレントの話もしていました。そして最近の流行歌にも詳しいようだ。それと、最寄の駅がどこだとかとも言っていたような気がします。しかしそれもうろ覚えのため些か自信がありません。せめて、本名だけでもわかれば何とかあいつに近づくことができそうなのですが―――
 とにかくその辺から当たって、なんとかして直接会って話をつけたいと考えています。
 そのようなわけですから、あなたにも是非協力していただきたいのです。

 念のため断わっておきますが、私のことは全く気にする必要はありません。
 本当に露ほども厄介だなんて思っていませんので。
 だって、約束したじゃありませんか。
 私は必ずあなたを救う。
 この命にかえてでも、悲しみの淵に立つあなたを救ってみせる、と。

 それでは、メールお待ちしています。


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