コミック

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  マイナス(沖さやか)
  アフター0(岡崎二郎)
  銀の月(佐藤宏之)
  レベルE(冨樫義博)
  告白〜コンフェッション〜(福本伸行+かわぐちかいじ)




  マイナス(沖さやか)

ヤングサンデーコミックス(全5巻)
 美貌の新人英語教師、恩田さゆりのムチャクチャな学園生活を描いた作品。

 「他人から嫌われること」を極度に恐れる主人公は、いつも独り勝手にパニックに陥っている。だが、元来表情に乏しい彼女は生徒や同僚から「立派な先生」と誤解されてしまいがち。
 そんな子兎のように怯える彼女は、やがて常軌を逸脱した行動をとり始める・・・

 ギャグなのかシリアスなのか、なんとも受け止めがたいこの話。驚愕の最終話まで一気に読ませてくれること請け合いです。(ラストシーンは結構感動します)

 なお、この作品にはちょっとしたいわくつきで、連載当時、あまりにも残酷なシーン(描写はむしろギャグなのですが、ストーリーが禁忌をおかしている)のため、出版社が自主的にその号の雑誌を回収したというセンセーショナルな事件がありました。(もちろん、その話は単行本未収録、新聞にも載りました。)

 では、その問題のシーンを簡単にご紹介しましょう。

 主人公は同僚教師及び生徒2人とハイキングで遭難。そこで出遭った少年が高熱に冒され死んでしまいます。空腹に耐えかねた主人公は躊躇うことなくその少年を焼いて食べてしまう。残った仲間たちも「ごめんね、ごめんね」と泣きながら、彼女に倣って人肉をむさぼり食らう・・・。
 しつこいようですが、描写そのものは極めてギャグしてます。怖いどころか笑い(失笑?)さえ誘うシーンなのです。その証拠に人肉を食べて満腹になったその後、すぐに国道に出てしまうというオチがついているくらいですから、作者はあくまでギャグのつもりで描いたに違いありません。(しかし、『漂流教室:楳図かずお』でもこの手のシーンがあったんだけど、そっちのほうがずっとエゲツなかったと思う・・・ま、ギャグにしちゃったのがマズかったのかもしれませんね)

 というわけで、誠に残念ながら上記のシーンはコミックスではバッサリ切られてしまったものの、変質教師恩田さゆりが犯す犯 罪の数々は圧巻です。とくとご覧あれ!



  アフター0(岡崎二郎)

ビックコミックス(全6巻)
 コミックスとしては異色の部類に入るであろう「本格ショートショート集」。
 10〜20ページくらいの掌編が、1冊あたり20本くらいづつ収録されていて、なんだかとってもお得です。

 ストーリーは感動的なものが大半を占めていて、ドラマ「世にも奇妙な物語」のコミック版といった感じでしょうか。
 また、化学・生物系の知識を用いた話も多く、ある意味雑学の本としても読めるかもしれません。

 中でも、唯一全14話に渡ってシリーズ化された「大いなる眠り子」はボクの一番のお気に入り。
 事故に見せかけられて殺された男の魂が、天上人の手違いで生まれたばかりの男の息子のからだの中に入ってしまう。男は赤子の息子が眠った時にだけ意識を表すことができた。そしてその秘密を知るのは妻だけ・・・。夫と息子が同一人物という奇抜な設定を見事に活かした実に面白いショートショートである。

 もちろん、単発の作品も粒揃い。
 ラストエピソード「無限への光景(たったの8ページ!)」は「やられた!」の一言に尽きる。どんなに短いストーリーでも感動は呼び起こせるのだ、という見本であります。



  銀の月(佐藤宏之)

ヤングサンデーコミックス(全1巻)
 ボクの最も好きな漫画家のひとり、佐藤宏之先生の短編集です。

「これ両替してもらえません?」
 とある田舎町。女性銀行員の前に現れた「謎の女」は家出して行方不明になっていた「実の兄」だった!
 ノスタルジックなムードで展開するホームドラマ。読後感も良く、非常に良い仕上がりです。

同時収録「カプリチオ」
「一丁の拳銃が少年の夏を変えた・・・」
 そんなアオリ文句が良く似合うハードボイルドな作品。こちらもカナリ沁みます。

 そもそも氏の作品に初めて出遭ったのは、ビックコミックスピリッツで連載していた「以蔵のキモチ」でした。
 女の子にモテモテの主人公、その実態は屈折したマザコン。早くに母を亡くし、横暴な父とドン臭い弟との3人暮らし。そこへ父の再婚相手が娘付きで家にやってくる。
 その娘(義理の妹)は、主人公の心を常に見透かし小馬鹿にするが、やがて互いに惹かれあっていく・・・

 思うに、この作家の上手さは「表情の描き方」にあるような気がします。その場に最も相応しい「顔」を見事に描ききるその手法は「こやつ、只者ではないゾ」と思わずにはいられません。

 しかし残念なことに、この連載は作者病気のため、大人気のうちに「打ち切り」とあいなってしまいました。(コミックスは3巻まで発売)
 そのあとも見かけないし、佐藤センセどうなっちゃったンでしょうか?

 なお、短編集「胡桃」も超オススメです!



  レベルE(冨樫義博)

ジャンプコミックス(全3巻)
 このマンガを知ってる人って、わりと多いでしょうネ。
 週間少年ジャンプでは珍しく「不定期連載」されていた作品。(「幽遊白書」を描いた人。「幽遊〜」の連載中は絵柄がどんどん変わっていって途中からついていけなくなった)

 ごくフツーの高校生、雪隆の部屋に転がり込んできた大宇宙の性悪王子が巻き起こす騒動を描いた作品。
 「宇宙人」に対するスタンスの取り方がいままでの少年誌にあったものと明らかに違うところが目新しかった。
 宇宙人=侵略者=悪いヤツ
 このイメージを逆手にとって、こねくり回して遊んでるって感じです。
 なにげにおどろおどろしい画風もGOODです!
 特にも次の3話は、かなりイイ線いってます。

「From the darkness」
 俺達は見てはいけないものを見てしまった。やがて「それ」を見た仲間がひとりまたひとりと姿を消していく。次は俺の番か?

「Here come Color ranger!!」
 性悪王子の悪戯でロールプレイングゲームの主人公を現実世界でやらされるハメになった5人の小学生。エンディングは何処?少年たちの受難の日々は続く。

「Honey moon…!」
 大量の蟲が発生した!一匹でも殺したら死の報復が待っている。
 王子と王女とテロリストたち。
 彼らは生き残ることはできるか?
 そして、蟲を寄せ付けないための「合図」とは?

 とまあ、いずれも個性的な内容となっています。
 読んだことあるけど、ストーリー忘れちゃったよ、って方もこの機会に再読してみてはいかが?



  告白〜コンフェッション〜(福本伸行+かわぐちかいじ)

アッパーズKC(全1巻)
 なんという豪華な競演でしょう!
 「カイジ」などで大人気の賭博系コミックの雄、福本伸行が原作に徹し、作画は「沈黙の艦隊」ほか数多くの名作を世に出しているかわぐちかいじが担当。
 超一級ヒットメーカーであるふたりの漫画家の強力タッグ、これだけでも「買い!」です。

 「聞いてしまったあいつが・・・悪いのだ・・・!!」で、はじまるこの物語のさわりをかるぅくご紹介。
 雪山で遭難したふたりの男、浅井&石倉。
 足に怪我を負った石倉は己の死を悟り、親友である浅井に「重大な告白」をします。
 しかし幸いにして、山小屋を発見したふたりは命をとりとめ、救助隊に電話連絡するもすぐには無理との回答。
 自分は死ぬと思ったからこそ「告白」をした石倉。
 親友の「告白」を己の胸の内だけに留めておこうと考える浅井。
 錯綜するふたりの思いはやがて・・・・・・

 強烈な結末とそこへ至るまで息もつかせぬ展開には最早感服のいたりです。
 大増303ページ、登場人物わずか二人だけという究極の密室劇。
 時間を忘れてのめりこむであろうことをお約束いたしましょう♪
「この作品の存在を聞いてしまったあなたが・・・得をしたのだ・・・!!(笑)」









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