第8話 1月6日
しっかし、かったりいよな、ゴミ出しっつうのもよぉ。 新年最初の月曜日。 引越して間もない俺は、正月中のゴミをひとまとめにしてゴミ捨て場に持っていき、我が目を疑った。 なんだこりゃ。 これがゴミ捨て場なのか。 やたらキレイに掃除されてやがる。 ゴミも整然と並べられてるし。 ご丁寧にネットまでかけられちゃってるよ。 しかし、なんだってんだ、この異常なまでの整頓ぶりは。 たかがゴミだろうに── うわ、しまった。 今日は燃えるゴミの日だったか。 まいったな、うっかり缶ビン持ってきちゃったよ。 でもな── ま、いっか。 また持って帰るのもうぜえし、邪魔になるだけだしな。 いいやいいや、捨てちゃえ捨てちゃえ。 ほい、一丁あがりっと。 と、目的を達成し、とっとと帰ろうとしたそのときだ。 「あの、ちょっと」 背後から呼びとめられる。 「今日は燃えるゴミの日でしょ」 あん?誰だ、この女。 年の頃は俺と同じくらい、派手な化粧の太った女が俺の捨てた缶ビンのゴミ袋を突っ返してきた。 「今日は燃えるゴミの日でしょ」 まるでテープレコーダーみたいにおんなじ調子でおんなじセリフを喋る女。 薄気味悪いったらありゃしない。 ああ、マジうぜえな。いったい、いつからいたんだよ、こいつわっ! つか俺が捨てたのを確かめてから、ワザと声かけてきやがったんじゃねえのか。 と、ありったけの疑いの目を向けるも、目の前の女は正義は我にありとばかりに俺の視線を正面からつっ返してくる。 デブ女は構わず話しかけてきた。 「きまりごとはキチンと守ってくれなきゃ困るじゃないですか。忘れないでくださいね、資源ゴミは第1第3木曜日ですよ。あっ、申し遅れました。あたし、町内会のお世話をさせてもらってる猿渡っていうんですけどね──」 それが俺とこのゴミ女の出会いだった── ご み じ ご く────(オワリ?) |
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