不浄なる女神の犯 罪(問題編)

不浄なる女神の犯 罪(問題篇)


 6月18日金曜日 22:27
 神奈川県警刑事部捜査一課は、ちょっとした宴会場と化してた。
 金融業者、重森尚殺 害事件解決を祝しての打ち上げであった。
「いやあ、それにしても冴子ちゃんの推理力ってば、毎度ながら感心するよなあ」
 日本酒がなみなみと注がれた湯呑茶碗を手に、岬刑事が後輩刑事円谷冴子のもとにやってくる。頬にほんのりと赤みがさし、すっかり上機嫌だ。
 一方の冴子はアルコールを受けつけない体質のため、オレンジジュースをいただいている。シラフの彼女は岬の口から吐き出される酒臭い息から、逃れるようにさりげなく椅子を引いた。
「そんなことはないですよ。わたしの方こそ岬さんの捜査の迅速さには一目置いてるんですから」
「え〜、そうかい、でへへ……まあ、分からないことがあったらこの僕に何でも聞いてくれたまえよ」
 滅多に人を褒めない冴子に褒められて岬は有頂天だ。
 冴子はおべんちゃらで人を褒めるようなことは決してしない。実際、岬刑事の聞きこみ、張りこみ、取り調べにおける基本的な捜査能力は、一新人刑事として見習うべきところが山ほどあった。それぞれが得意な分野で力を発揮し、一丸となって真相と突きとめる。やはり警察の世界もチームワークが大事だと冴子はしみじみ感じいっていた。
「お、岬が冴子ちゃんを口説いてるぞ!」
 捜査一課の同僚の一人、下河原刑事(45歳、柔道4段、バツイチ)が、部屋のすみで言葉を交わしている二人の若手刑事を目敏く発見し冷やかしにきた。こちらも相当酔っているようだ。こんな状況で殺 人事件でも発生したらどうするつもりなのやら……?
「な、何言ってるんですか、下河原さん!」
 聞き捨てならんとばかりに岬刑事が反論する。
「そりゃあ、冴子ちゃんはかわいいし、賢いし、素敵な娘だとは思いますがね、残念ながらぼかあ、浮気って奴が大嫌いなんですよ」
 わたしもそういう対象では見てないんですけど……。
 冴子はそう思ったが、あえて言わないことにした。言えば余計に冷やかされるに違いない。案の定、下河原刑事が岬に茶々を入れてきた。
「な〜んだ、岬ィ。お前、まるで彼女がいるみたいな口ぶりじゃねえか?」
 岬はその言葉に相好を崩した。
「へっへー、当たり前じゃないですか。こんなダンディな伊達男を世の女性たちが放っておくとお思いかってんだ」
 ダンディかどうかはそれぞれの主観の問題だからこの際触れないことにしよう。酒が入って調子づいた岬は「ジャジャーン」と人間効果音を奏でながら、水戸御老公の印籠よろしく携帯電話を取り出した。
「岬君、携帯電話がどうかしたのか?」
 そう言ったのは、上司の九条警部補だ。彼はあまり呑んでいないので割合マシな方だ。愛妻家で子煩悩な彼は、仕事が終わったときくらいは早く帰りたいものだと密かに考えていたりする。
「見てくださいよ、コレコレ」
「プリクラですか?」
 冴子の問いに岬は首がもげるのでは?と思えるほど何度も大きく頷いた。携帯に貼られたプリクラには岬と一緒に若い女の子が写っている。
「これ、僕の彼女。水上理美(みなかみ さとみ)ちゃん。現役短大生ですよ。どうです、羨ましいでしょお?」
 こういう色気のある話には縁の薄い捜査一課の連中は興味津々の態でその小さな写真に群がってくる。
「お、結構かわいい子じゃないか、どうやって騙したんだ?」
「岬、お前、それは犯 罪だろ」
「で、どんな娘なんだ?」
 岬はまあまあと一同を制して、
「彼女、看護婦の卵なんです。忙しくて会えないときでもメールのやりとりとか頻繁にやってるんですよ」
「ほお、なんだか、今風だねえ……」と、これは九条警部補のオジサン丸出しの発言だ。
「あ、メール見ます?僕らの愛の交換日記をとくとご覧あれ!」と、岬も若いわりにはオジサンぽいことを言う。
 岬刑事はみんなの答えを待たずにデスクのパソコンを立ち上げた。酔いも手伝ってか、もう自慢したくてしたくてしょうがないらしい。こうなるともう処置なしである。
「おいおい、職場の備品を私用で使ってるのかね?」
 などと、お堅いことを言う九条だったが、顔は笑っている。
(まあ、我々、殺伐とした世界の住人としちゃ、たまにはこういう息抜きがあってもいいかもな)
 能天気に見えて、やるべきときはしっかりやる岬だからこそ九条も大目に見てやることにしたのだった。
 岬は馴れた手つきでメールを開いて見せた。

(6/17 21:04)
こんばんわ、理美です(^v^)v
お仕事ご苦労様です
この頃は忙しいみたいですね
なにか事件でもあったのかナ
あ、日曜日のデート、とっても楽しかった!
時間ができたら今度はドライブにでも行きたいな
また、メールします
おやすみなさい♪
PS 私のことハニーって呼ぶの、できたらやめて欲しいです(ちょっとハズカシイので)


「このこのォ、この幸せモンが」
「お前、やるこたあしっかりやってるんだなあ」
 と、みんなから小突かれまくる岬はすっかりご満悦である。
「さてと、じゃあ、今日のメール開けてみようかなあ……」
 と、回線を繋いで新着メールをチェックする。メールは3件入っていた。まず1通目を開いてみる。
(6/18 18:40)
理美です
岬さん、私、ひどい子です
親友を裏切ってしまいました
彼女、きっと私のこと恨んでると思います
さっき、彼女に「殺してやる」なんて言われちゃった(T T)
ホント、殺されても仕方ないかも
ううん、でもやっぱり私、死にたくなんかない!幸せになりたい!
岬さん、私に元気をください


「殺してやる、か……随分と物騒な話だな……」と九条が率直な感想を述べる。
 そして2通目。
(6/18 18:43)
岬さん、ごめんなさい
さっきのメール消去してください
そして忘れてください(すぐに!)余計な心配しないでくださいね(大したことじゃないんです、本当に)
彼女(♀)とは今夜中にでも仲直りしたいと思います


「彼女、何か悩んでるみたいだな。岬君、連絡とってみたほうがいいんじゃないか」と、九条が心配そうに助言する。
「あ、ええ、そうですね、そうします。でも、おかしいなあ。こんな愚痴っぽいこと書いてきたことなんて一度もなかったのに……大したことないなんて言ってるけど、きっと、よほどのことがあったんだ」
 岬は酔いが一気に吹き飛んだらしく、赤い顔が幾分青ざめている。
 そこへ冴子がひとつの疑問を口にした。
「それにしても、この記号(♀)なんでしょうか?」
 当惑顔の岬が目を瞬かせる。
「いや、心当たりないな。なんだろう?これって『女』を意味する記号だよね。彼女ってくらいだから女に決まってるだろうに……」
「ただの書き間違いじゃないのか」と、これは下河原刑事。
「いや、それはないでしょう。丁寧に括弧で括ってるし、やはりこれは理美さんが意図的に書いたものだと思います。それより岬さん、早く3通目を開けてください。これも彼女からのようですし……」
 女のカンとでも言うべきか、冴子は不吉な予感を抑えきれず岬を急きたてた。
 3通目。冴子の予感はズバリ的中した。
(6/18 22:02)
岬さん、やっぱり私、親友を裏切った罪には堪えられません。
私、ひどい女です。
さようなら。


「おい!まさか彼女、死ぬ気じゃ……」
「そうも読み取れますね」
 露骨に慌てる九条とは対照的に、冴子は努めて冷静にそう応じた。抜き差しならぬ空気が支配する課内では、もう誰一人として酔っている者はいない。さすがプロである。
 時計の針は22:49をさしていた。最後のメールから1時間近く経過している。まさに一刻を争う状況だった。
「岬君、彼女の家を知っているか?まあ、自殺すると決まったわけじゃないが、念のため行ってみた方がいいかもしれんぞ」
「え……あ……はい……」
 よほどショックだったらしく岬は放心状態だ。そんな先輩に喝をいれる冴子。
「岬さん!しっかりしてください。理美さんの家はどこなんです?」
「あ……ああ、彼女、短大の寮に入ってるんだ……男子禁制の女子寮だから、場所は知ってるけど中に入ったことは……」
「とにかく、行きましょう!その前に電話を!彼女を説得するんです!」
 冴子の叱責に弾かれるように携帯をとる岬。やがて……。
「駄目だ……電源が切ってある」


 6月18日金曜日 23:04
 九条、岬、冴子の3人はアルコールの入っていない冴子の運転で水上理美の住む女子寮に到着した。
 門の前では舎監と思しき中年の女性が出迎えていた。水上理美への電話が繋がらないので、やむなく寮の方へ連絡しておいたのである。
「あ、警察の方ですか?私、この寮の舎監をしております……」
「理美は!理美は無事なんですか!」
 舎監の自己紹介も聞かぬうちに岬刑事が鬼のような形相で尋ねる。
「それが……私が部屋へ行ったときには……」
「部屋は?理美の部屋はどこですか!」
「2階の一番奥ですけど……ちょ、ちょっと、時間を考えてください。寮生たちが起きてくるじゃないですか」
 我を失っている岬はお構いなしに荒々しく寮内へと進んでいく。そして、その後を追う冴子たち。
 冴子たちが追いつくと、岬が理美の部屋の中で立ち尽くしていた。
「理美……」
 水上理美は死んでいた。
 飾り気のない良く整頓された部屋。壁一面の書棚にはさまざまな種類の本が並んでいる。机の上ではノートパソコンのディスプレイが煌々と灯っている。理美は白目を剥いて、ベッドの上に仰向けに倒れていた。口の端からだらりと垂れた舌が痛々しい。左腕が捲くられ、右手には注射器が握られている。おそらく死因はそれによるものだろう。
 よろよろと遺体に近づく岬を九条が怒鳴りつけた。
「触るんじゃない!」
 岬は愛しい女性の体に触れることもできず、その場に跪き、そして泣いた。
「ううっ……ばかだなあ、理美ィ。どうして俺が来るまで待てなかったんだよ……ったく、なにやってんだよお……」
 九条はかける言葉が見つからず、無言で岬の肩に手を置いた。
 かたや冴子は白手袋をはめて、てきぱきと理美のノートパソコンを操作している。
「警部補、確かにあの3通のメールはこのパソコンから送信されたもののようです」
「そうか……」
「それと……」
 冴子は九条を部屋の外に連れ出して耳打ちした。
「これは他殺の疑いがあります」


 冴子の説明を聞いた九条警部補はさっそく鑑識班を召集し、自殺と他殺の両面から調べるよう指示を出した。
 九条と冴子は理美の部屋の外で、舎監の蓮田遼子(はすだ りょうこ)から事情聴取をしていた。彼女には他殺の可能性があることをまだ伏せてある。
「あなたが第一発見者ということで間違いありませんね」
 蓮田遼子は困惑しきった顔で九条の問いに答える。
「はい、警察から理美さんが自殺するかもしれないって電話があったので、すぐに彼女の部屋へ行ってみたら、あんな姿で……」
「現場には一切、手を触れていませんね?」
「それはもう……」
「ところで、この寮は外部の人間が外から入ることはできるんですか?」
「それは難しいと思います。舎監室は玄関の前にありますし、女性だけの寮なもので物騒ですから、その辺のセキュリティは万全のはずです」
「玄関のところに門限は午後8時と張り紙がしてありましたが、ということは今、寮生はみんなこの寮の中にいるわけですよね」
「いえ、それがその……」
 蓮田遼子は奥歯にもののはさまったような口ぶりだ。
「これは大事なことなんです。それにあなたが答えなくても、全員の部屋を調べて回ればすぐに分かることなんですよ」
 横から口を挟む冴子の詰問調に、中年おばさんは小さくなって恐縮した。
「すいません。たぶん、ほとんどの子は外に出てると思います。週末ですし、遊びたい盛りでしょ?門限8時というのはちょっと可哀相かなあと……ですから、私、外出していく子たちはいつも黙認しているんです……困ったわ、こんなこと学校に知れたら、私、ここにいられなくなってしまいます……」
「じゃあ、今、この寮の中にいるのは?」
「さあ……ほとんど残っていないと思うんですけど……あのォ、彼女自殺なんでしょう?そんなことどうして聞くんですか?」
 冴子はその質問には答えずに事務的な口調で言った。
「蓮田さん、今残っている寮生を全員集めてもらえますか?」


 円谷冴子は思考をめぐらせていた。
 十中八九、これは他殺で間違いないだろう。鑑識班の報告では死亡推定時刻は午後10時前後。争った形跡がないことから、顔見知りの犯行である可能性が高い。また、注射器からは微量の薬物が検出された。おそらく犯人は、注射の練習とか何とか理由をつけて、彼女の腕に針を刺したに違いない。つまり、犯人は10時前後この寮の中にいた者であり、更に言えば、動機の面から考えて水上理美がメールの中で書いていた彼女(♀)である可能性が高い。
 談話室に行くと、意外にも寮生はわずかに3人しかいなかった。
「これで全部……ですか?」
 九条が呆れたように蓮田舎監に問いかける。
「はい、この3人は今夜はずっと寮から出ていなかったようです。それと、9時以降に外出した子はひとりもいませんでした」
「いつもこんな感じなんですか?つまりその、ほとんどの子は外出を?」
「ええ、週末は特に……」
(それも犯人の計算のうちか……残っている寮生が少ないのを見越しての自殺と見せかけた偽装殺 人……しかし、他殺の線が浮上した今、逆に容疑者が絞られる形となったわけだ……)
「あのお、理美が自殺したって本当なんですか?」
 寮生の一人、3人の中では、最も落ちついてみえる大人びた感じの女の子が訊いてきた。彼女は、理美を含めた4人の中でも群を抜いた美しさを誇っている。
「君は?」
「早手です。早手鏡子(はやて きょうこ)といいます。彼女とは高校の時からの付き合いで……でも、彼女が自殺だなんて……」
「理美さんが自殺するような心当たりはありませんか?」
 九条の問いは鏡子に向けられたものだったが、それに応じたのは別の女の子だった。その子は背が低くてそばかす顔のお世辞にも可愛いとは言えないタイプの女性だった。
「まさか!理美が自殺するなんて信じられません。明るい子だったし、悩みなんて持ってるふうでは……」
「君も理美さんとは親しかったのかい?」
「はい、ここにいる小百合も含めて、私たちは理美と仲がよかったほうだと思います」
 そう説明する女の子の名は音部葉月(ねぶ はづき)といった。そして、さっきからずっと黙りこくっているのが、廓小百合(くるわ さゆり)。おかっぱ頭の内向的な感じの子だ。百合子は草食動物のように怯えた顔で視線をうろつかせている。
「他の方はどうです?彼女が自殺するような心当たりは?例えば、誰かから恨まれていて悩んでいたとか……」
 しかし誰からも応えはない。
「では、参考までに伺いますが、今夜、理美さんの部屋に行った人はいますか?」
「なぜ、そんなことを聞くんです?」と、鏡子が形のよい眉を吊り上げて尋ねる。
「死亡時刻を特定するためですよ。調書を作成するときに必要なんです」
 九条はそんな苦しい応え方をしたが、一応みな納得しているようだ。しかしこの質問にも期待した応えは得られなかった。つまり今夜は誰も彼女の部屋には行っていないということだ。ただ一人、犯人を除いては……。
 九条警部補はがりがりと頭を掻いた。
(くそっ、この中に犯人がいると思うんだが……あの記号(♀)の意味さえ分かればな……)
 ここで冴子が初めて口を開いた。
「ところで、皆さん、Eメールとかは、やられているんですか?」
「あの、それって、なにか関係があるんですか?」と、またも鏡子が食い下がってくる。
「いえ、理美さんもEメールのやりとりをしていたようなので、もしかしたら、皆さんの方に自殺の動機の手掛かりになるようなメールが来ているかもしれないと思ったものですから……ほら、面と向かっては言えないけど、手紙なら言えることってあるでしょ?」
 葉月が合点がいったように頷く。
「そうね、それはあるかもね。私と鏡子は自分のパソコン持ってるから、メールは、やっています。でも小百合は駄目ね。この子、機械オンチだから」
「よかったら、それ見せていただけませんか?」
「ちょっと待ってよ。それだったら理美のパソコンを調べたほうが早いんじゃない?送信済みのメールが残っているはずよ」と、鏡子。
「ええ、それはもう調べてみたんですけど、あなたがたに送ったと思われるメールは結局ありませんでした。でも内容が内容だけにデリートしてしまった可能性もあるので……」
「私、ついさっきメール開けてみましたけど、何もなかったですよ」と、鏡子。
「私も10時半頃だったかな……開けてみたけど、それらしいものは……」と、葉月。
「そうですか……」
「でも、念のため見てみます?何の参考にもならないと思うけど……」と、鏡子が申し出れば、
「プライベートは守ってくれますよね?私たち友達どうしですら、お互いのメールの中身を見たりなんてしてないんですから」と、葉月も仕方なしに了承する。
「ええ、もちろんです。じゃあ早速、お願いします」
 時計の針は既に午前1時を回ろうとしていた。一同が各々の部屋へ行くため席を立ったのとほぼ同時に岬刑事が入室してくる。憔悴しきった様子ではあるが、大分落ちつきを取り戻しつつあるようだ。岬にはまだ他殺の線が浮かんでいることを話してはいなかった。それを教えれば、また錯乱しかねない。
「岬さん、大丈夫ですか?」
「ああ、なんとかね……」
 岬を見た鏡子がはっと目を見張り、やがて寂しげに微笑んだ。
「岬さんって……もしかしてあなたが理美のカレシの岬さんですか?あなたのことは耳にタコができるくらい自慢話を聞かされました。すごく素敵な刑事さんだって……」
「そうですか……えっと、君は彼女の友達かい?いや、あの子は本当にいい子だったよ。僕には勿体ないくらいにね。ロマンチストでさ、よく星空を見上げながら、星座とかローマ神話とかのことを目を輝かせながら話してくれたっけ。その時の彼女の瞳こそ、まるで天空の星々のようにキラキラ輝いていた……」
 そんな感傷に浸る岬の傍らで、冴子が何か閃いたように感嘆の声を上げた。
「そうか!そうだったんだ!」
 冴子は蓮田舎監から借りた寮生名簿を手に談話室を飛び出して、まっすぐに理美の部屋へ向かった。
 そして、理美の書棚をざっと見る。
 「天体観測入門」「ギリシャ文明の神話」「ローマ神話の英雄たち」などの本がずらりと並んでいる。
 冴子は一冊の本に手を伸ばし、ぱらぱらとめくりだした。
「あった!やっぱり……」
「円谷君、何か手掛かりでも見つけたのか?」
 九条が背後から声をかける。振りかえった冴子は晴れやかな表情で上司に向かって断言した。
「警部補、理美さんがメールに書き残した記号の意味が分かりました。やはりそれは、あの3人の中のひとりを指し示していたんです」
「本当かね!で、誰なんだ、そいつは?」
「はい、それは……」





 みなさん、犯人は分かりましたか?
 さて、今回の出題は、『自殺ではない理由』と『(♀)の解釈』です。
 それでは、引き続き解答篇をご覧ください。 



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