アクロバティック０．７５

アクロバティック０．７５　第３１話（山勢修三）

　こんばんは、理由さん。
　
　先日は長文のメールを送ってしまい大変失礼しました。
　あのメールを送ったすぐ後で、ひどく後悔したものですが、誰かに聞いてもらうというのはいいものですね。なにやら胸のつかえがおりたような、そんな気持ちです。
　あなたにとっては、どうでもよいことであるはずなのに、丁寧な返信までいただき恐縮しています。
　文章の端々からあなたの気遣いが伝わってきました。
　理由さん、あなたはとても優しい方ですね。

　それにしても最初から不思議に思っていたのですが、あなたのハンドルネームの「理由」、なにか意味深ですね。
　ご承知のとおり「山勢修三」は私の本名なのですが、知らない人とメールのやりとりをするときに本名を使用するのはやはり危険なのでしょうか？
　考えてもみれば、ネット犯罪が多発している昨今ですから、個人情報は極力明かさないようにするのが常識なのかもしれません。だとしたら、いきなり住所や電話番号をお知らせするのは自殺行為ということになりますね。いやはや、そのメールを受け取ったのがあなたで良かった。あなたなら悪用することはないでしょう。まあ、無言電話は何度かいただきましたが、それはご愛嬌ということで。
　実は私、インターネットを始めたばかりの初心者でして、実のところ、面識のない方とメールの交換をするのはあなたが初めてなのです。そして今も、あなた以外でメールのやりとりをしている人はおりません。
　あなたとメールを交わすためだけにインターネットに接続しているという現状なのです。
　私はアナログタイプの古い人間です。パソコンもワープロ代わりにしか使っていません。まったく困ったものです。
　それでは、また。

　　　山勢修三

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