アクロバティック0.75

アクロバティック0.75 第8話(山勢修三)

 こんにちは、山勢です。
 メール拝読しました。
 ところで、本当に他に解決の道がないのでしょうか。
 あなたの返信では具体的なことにまでは触れていないようなので軽はずみなことは言えませんが、そのくらいのことなら死ぬには値しないと思います。
 いや、どうか気を悪くしないでください。

 実は私には人を死に追いやってしまった過去があるのです。
 彼は私の教え子でした。
 彼が死んでしまうまで全く気付きもしませんでした。
 教師失格です。
 彼はずっと私に信号を送っていたんです。
 なのに私は―――

 私は無力です。
 それでも私は生きている。
 それは愛する家族がいるから。
 私が失意の底にあったとき、私が周りの人々に後ろ指を差されていたとき、支えになってくれた家族、味方になってくれた家族。妻と息子がいたから今も私は生きていけるのです。
 あなたも何か見つけるといい。かけがえのない何かを。
 そうすればあなたもきっと死のうなんてこと考えないはず。
 心中相手を募集するくらいのあなたのことだ。きっと心のどこかで温もりを求めている。私はそう感じます。
 もしあなたさえ良ければ、しばらくの間このやりとりを続けませんか。
 お返事お待ちしています。
 ではまた。 


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