ビンカンすぎます

 




【ビンカンすぎます】
個人情報保護法が施行されて早半年が過ぎました。
でも実際のところなんにも変わってないじゃんか、というのがみなさんの率直な意見ではないでしょうか。
企業による個人情報流出は後を絶たないし、どこからともなく入手された住所録を利用してのダイレクトメールや電話勧誘はとどまるところを知りません。
なんといってもメールボックスに溢れかえらんばかりの広告メールにはウンザリのひとことに尽きますよね。
そう、やっぱり結局はなにも変わっちゃいないんです。
さりとて、しつこい電話勧誘に対してもう掛けてくれるなと言ったところで、利用目的さえ本人に通知していれば法律上強制権を発動することができないのが実態。
俺の情報どこから入手したのよ、と問いただしても、業者は特別な事情がないかぎり開示する義務を負わないということになっているわけでして、なんともはや役立たずな法律だなと言わざろうえません。
デメリットはまだあります。法律自体が中途半端に浸透したため世の中全体が過剰に個人情報を守ろうとし始めたことです。
つまり、提供して良いかどうかファジーな情報は一切明かさないという風潮につながっちゃったわけですよ。
運動会のビデオ撮影禁止とか地域の連絡網作成中止とか細かいことをあげたら枚挙に暇がありません。
これはもうあからさまに過剰反応。ったく、ビンカンすぎるぞ、このチキン野郎どもがっ! ガタガタぬかしてると空中元弥チョップおみまいしちゃうぞと、一喝してやりたいところです。(言いすぎです)
まあ、特にも過日の脱線事故の際は、被害者の情報を求めて病院を訪れる家族に対し、個人情報保護法を盾に情報提供を拒むというケースが散見したそうです。
法律施行後まもなくの事件だったので病院側も対応に苦慮したのでしょうが、常識的に考えてそれはないだろうと憤慨した人も少なくはなかったと思います。
要は例外規定をしっかり理解していないからなのですが、こんな状態が続くようでは情報を提供すべき義務を怠った場合の厳しい罰則規定も必要になってくるのではないでしょうか。
ひいては本人の情報は本人自身にしか公開する権利を持たない、あるいは他人の情報を他人が取得することができない、さらにこれらに関する一切の例外は認めない的なことにまでなってくるわけですよ。


たとえばですね―――

(ぼわわわわ〜〜ん)←場面転換の擬音です。

 〜お引越し〜
「あの〜、今度近所に引っ越してきた鈴木と申します。どうぞよろしくお願いします」
「近所って、右隣りの空き部屋に越された方ですか?」
「い、いやあ、そこまではちょっと……まあ、ご近所さんということで曖昧にひとつ」
「あら、なんだかズルイわ。お宅ばっかり私の家を知ってるなんて……」
「まあ、そこはそれ、ね。個人情報保護の時代ですから。ところでお宅様のお名前なんておっしゃるの? 表札もかかってないみたいですし」
「え、あ、そこは、ね、ほら、個人情報保護の時代ですから、おほほほほ」
「まあ、ズルい!」


あるいは―――

(ぼわわわわ〜〜ん)

 〜名刺交換〜
「や、どもども、はじめまして。お名刺頂戴します。高橋さんですね」
「はい、まあいうても仮名なんですけどね。失礼ですがお宅さまのお名前は?」
「はい、山本です、まあウソですけどね」
「……まっ、そこはそれ、お互い様ということで良しとしますか」
「ですね。とにかくA社さんとはこのたび業務提携ということでいろいろとお世話になります」
「いやいや、こちらこそよろしくお願いします。でも実はわたし、A社の社員じゃないんですけどね」
「げっ、じゃあ、おまえ誰だよ!」
「つか、おまえこそ誰だ! この名刺白紙じゃねーか、ウソでもなんか書いとけよ!」


はたまた―――

(ぼわわわわ〜〜ん)

 〜交番〜
「人のものを断りなしに借りることをね、世間では窃盗っていうんだよ。立派な犯 罪だからね、これ」
「はい、すいません」
「反省だったら猿でもできるんだよ。で、あんたの名前は?」
「私の名前を聞いてどんな目的に使うんですか?」
「決まってるだろ、調書を作るんだよ」
「では、拒否します」
「じゃあ住所は?」
「私の住所を聞いてどんな目的に使うんですか?」
「だから調書を作るんだよ!」
「では、拒――」
「おまえ、死刑」


――ということで、これをフローにすると次のようになります。

個人情報を保護する。

個人情報を隠す。

個人情報を偽る。

世の中がウソツキだらけになる。

本当のことがわからなくなる。

真実と虚偽の境界線があいまいになる。

なにを信じたらいいのかわからない。

誰も信じられない。

心が寒い。

さみしい。

さみしいとウサギは死んでしまう。

ウサギのいない時代が来る。

癒しがなくなる。

心が荒ぶ。

犯 罪に走る。

常に身の危険を感じる。

自分の身は自分で守らなきゃ。

個人情報をうかつに公表できない。

個人情報を保護する。(ふりだしに戻る。)


どーですか、みなさん、この悪夢のような個人情報保護スパイラルわっ。
これでご理解いただけたかと思います。由々しき事態はもう目の前に迫ってきているんですよ!
え、迫ってませんか。そうですか。
that's all(ぼわわわわ〜〜ん)←フェードアウトの擬音


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