NEVER END

 




【NEVER END】
全員が黒いスーツに黒いソフト帽そして黒ぶち眼鏡をかけている探偵事務所5というドラマがある。
これって在籍探偵100人全員が登場するまで制作が続けられるのでしょうか。
で、おなじみのヒカコラですよ、こんにちは!(続かないほうに500円)


「お忙しいところすいません。ちょっとお尋ねします」
 受話器の向こうから聞こえてきたその声は70がらみのおばあさんだった。
 努めて標準語で話そうとしているがアクセントには田舎訛りが多分に含まれている。
「はい、なんでしょうか」
 やや大きな声で話していることから耳が遠いのかもしれないと思い、こちらもやや大きめの声で応対すると、おばあさんはすごく申し訳なさそうに訊いてきた。
「年金はいつ振り込まれるんでしょうか」
「えっと、入金予定のはずのお金がまだ振り込まれてないということですか」
「あ、そうではなくて、たぶんもうすぐ振り込まれるとは思うんですけど、すぐ遣いたいのでいつ銀行に入るのか知りたくて……」
「それならですね、通知がお宅のほうに届いていると思うんですよ。振込みのお知らせというのが。そこに入金日とか金額とかが書いてあると思うのですが」
「いや、あの、その手紙、ゴミと一緒に捨ててしまってわがんねぐなったもんですから……」
 なるほどそういうことか。であれば名前と住所を教えてもらいこちらで調べることが出来たはずだ。とはいえ僕が今の部署に配属になってまだ1週間。まわりの同僚たちも会議で席を外していて検索する方法を尋ねることが出来ない。まあいずれにせよ照会内容は個人情報に関することだから、なりすまし詐欺などを警戒し一旦電話を切ってこちらからかけ直すべきだろう。
「それではこちらで調べてから折り返しご連絡しますので、名前と住所と電話番号を教えていただけますか」
「今日中にわがりますか」
「ええ、大丈夫ですよ。何分か後には調べてこちらからかけなおしますので」
「あのお、それだば、またこちらからかけなおしますから」
 僕はおもわず首をかしげた。なぜわざわざ自分からかけなおすというのだろう。こちらからかけられて困ることでもあるのだろうか。まさかなりすましか? そこまで考えが至った頃おばあさんが恥ずかしそうに付け加えた。
「わたし今、公衆電話からかけてるんです」
 よくよく事情を聞いてみると、おばあさんは賃貸アパートに一人暮らしで、電話線も引いていないし携帯電話も持っていないというのだ。そのうえ一刻も早く年金が欲しいというのだからよほど生活が苦しいのだろう。僕は一瞬でも詐欺などと疑った自分を恥じ入った。
「それでは10分したらまた電話をもらえますか」
 僕は自分の名前と直通の電話番号を教えて電話を切り、ふうふういいながらどうにか振込日を調べあげた。
 そしてきっかり10分後、電話が鳴った。
「あっ、さきほどの方ですか。ええと、振込みは明後日の13日になりますね」
「そうですか、ありがとうございます」
 おばあさんは心底ほっとした様子だった。なんでも16日がお孫さんの誕生日だとか。ついては孫のために何かプレゼントをしたいと考えていたが手持ちがなくて困っていたとのこと。できれば直接会いに行って手渡したいのだが娘夫婦が遠くに住んでいるため交通費の捻出もままならずプレゼントは郵送にしようということらしい。僕の家も家計は決して楽とはいえないが、電話もあるしマイカーも持っている。電話を持たないということは娘さんともあまり連絡を取っていないということだろう。ここに直接相談してきたということは近隣付き合いもあまりないのだろう。僕は孤独な老人のかつかつな生活を想像し同情を禁じえなかった。
 おばあさんは話し相手ができてうれしいらしく、ところで孫へのプレゼントはどんなものがいいだろうかと尋ねてきた。
 その照会に対する回答行為はもちろん業務の範囲外だったが、小姑タイプの上司も幸い会議中であったこともあり、「ちょっと待ってくださいね」と断り、仕事用とプライベート用をいっしょくたに使っているスケジュール帳を繰って息子の誕生日のページを開いた。お孫さんは男の子で年齢もちょうど息子と一緒だった。そこで自分が息子に前回なにを買ってあげたか確認しようと思ったのだ。
「お待たせしました。お孫さんはまだ小さいのでそんなに高価なものじゃなくてもいいと思います。ちなみに私の息子もお孫さんと同い年なんですが、そのときの誕生日プレゼントがゲームカードのセットでした」
「カードってどんなものですか」
「ええとですね……」
 言いながら思い出してきた。約3ヶ月前が息子の誕生日でトレーディングカードのスターターパックとかいうのを仕事帰りに玩具屋で買って帰ったのだ。息子は大喜びだった。カードというとメンコのように地面に叩きつけて相手のカードをひっくり返したりして遊ぶものと思っていたが今のはどうやら違うらしい。その使い方を息子に教えてもらった気もするがおおよそでしか覚えていない。
「すいません、ご親切にありがとうございました。それでそのカードというのはいくらぐらいするものなんでしょうねえ」
「そうですね、たしか2000円くらいだったと思いますよ




―――2000円。
さて2000円といえば、2000円札って最近ホントに見なくなったなあ、と思いませんか。
たまに手元に入ってきても持っているのがなんとなくイヤですぐに使っちゃう、さながらババ抜きにおけるジョーカーのような存在でございます。
2000円札は西暦2000年に開催された沖縄サミットを記念して作られたものですが、守礼門をデザインに組み込んで目いっぱい沖縄をフューチャーしたこの2000円札はご当地沖縄でもやはりケムたがられてたりしているのでしょうか。や、なんだか気になります。コレを読んだ沖縄の方で「いやいや、そんなことはないさー」とかいうご意見ご感想ありましたら当局までご一報いただければ幸いです。
実際のところ2000円札の流通枚数は年々減ってきているのですが、発行を停止したわけでは決してありません。
ちなみにその数を他の紙幣と比較してみましょう。

10000円札  69億枚
1000円札   35億枚
5000円札    5億枚
そして、2000円札   1億5千万枚

少なっ!

ていうか、よくよく考えてみるとむしろ多いくらいかもしれません。
だって5000円札の約3分の1ですからね。
つまりヒカコラ試算によると5000円札を3回手にするのと2000円札を1回手にする確率が一緒ってことになるわけじゃないですか。
いうてもそれほど2000円札は手にしてないぜ、ぼかぁ、ってハナシですよ。
おそらくみなさんも同じように感じるんじゃないでしょうか。
一体ドコに潜伏しているんだ、2000円札。
って、意外と国民1人1人が1枚くらいずつ記念硬貨のような扱いで使わずに家の金庫に仕舞っていたりしてね。
that's all(小説風の長〜い前フリで本題は当然「年金問題」であろうと匂わせておきながら強引に「2000円札」のハナシにもってくる肩透かしっぷり、これがヒカコライズム。)


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