暑いどころのハナシじゃない

 




【暑いどころのハナシじゃない】
  [ジュンくんとパパ(5)]
ジュンくんはいつになく強い口調でパパに詰め寄りました。
「いつもいつもパパはボクに冷たいよね。きっとボクはパパの子じゃないんだ!」
「まあ俺が生んだわけではないからな。絶対に違うとは断言できない」
「う……そんな言い方ひどいよ。きっとパパの体には赤い血が流れていないんだ。だからママもいなくなっちゃうんだ」
「それは違うぞジュン。俺の体にも赤い血は流れている。なんなら病院に行って証明してもらうか?」
「もう! 食いつくならママの話にしてよ。そうやってパパはいつも正面からボクを受け止めてくれない。ボク知ってるんだ。パパは子どもが嫌いなんだ。面倒臭いんだ」
「ああ、よくわかっているな。たしかに俺は子どもが嫌いだ」
「ボクだって……」
ジュンくんは怒りや悲しみや悔しさの入り混じった感情を抑えきれずぽろぽろ大粒の涙を流しています。
「パパなんか……パパなんか大嫌いだよっ!」
ジュンくんは裸足のまま、家を飛び出していきました。
ひとり残ったパパが部屋の真ん中で胡坐をかいてうなだれています。
ひとりきりの家は無性に広く思えて、やけに静かに感じられて……
「ああそうだとも。俺は子どもが大嫌いだ。甘えるし、おもねるし、委ねるし、ひとりじゃ満足に生きていくことも出来やしない。まったく子どもなんて手がかかるばかりでとてもじゃないが好きになれん。だが――」
パパは意を決して駆け出しました。
俺 は ジ ュ ン が 大 好 き だ !!
「ジュン!」
玄関を出ると道路の真ん中にジュンくんが棒立ちでベソをかいています。
「えっく……ボク、どこにも行くところがないんだ……パパのところしかないんだ……パパ、ごめんなさい。ひっく……ボク、ずっといい子でいますから、これからもパパと一緒にいてもいいですか」
そのときです。猛スピードで走ってきたダンプカーがジュンくんを天高く跳ね飛ばしました。ジュンくんは即死でした。パパの体に赤い血が流れているかどうかはともかくジュンくんの体にはたくさんたくさん赤い血が流れていたことを眼前の光景が証明していました。 【おわり】
で、おなじみのヒカコラですよ、こんにちは!(なんつーオチだ!)


扇風機がね、燃えるんですよ、いやマジで!
8月20日、東京都内某所で発生した火災により老夫婦がお亡くなりになりました。
その出火原因というのがどうやら旧式の扇風機の発火によるものらしく、メーカー(サンヨー)は「不良品ゆえの発火ではなく経年劣化によるものだ」として使用中止を呼びかけるものの自主回収・無償修理は特に行わないとコメントしています。
この猛暑を古ぼけた扇風機でようやく凌ぎきった老夫婦に訪れた突然の死。まったくもって居た堪れません。
確かに本件は過日のFF式石油ストーブやガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒とはワケが違います。
なにしろ火の出た扇風機は30年も前に製造されたものだそうですから、当時の品なら長時間使用しているだけで表面が熱を持ってあっつくなっていそうだし、コードもたいがいクタクタになってコンセントの差し込み部分なんて銅線むき出し状態だったりしてすこぶる危険そうに思えます。
扇風機の発火原因による火災は過去にも何件かあったようですが、いずれも30年クラスの骨董品級だったとか。
これはもうメーカーの言い分が正しい。正直ボクはそう思いました。
食べ物に消費期限があるように、やはり電化製品にも暗黙の使用期限というのがあるのではないか。
それを見極めるのがユーザーの自己責任というか危機管理ではなかろうかと、かように思うのです。
たとえ消費期限が表示されていなくても半年も放置して真っ黒くなっているバナナを食べようとする人はいません。それと同じです。
ならばこのような悲劇を繰り返さないためにメーカーは今後どうすればよいか。
答えはいたって簡単、壊れやすい製品を作ればいいんです
なまじ丈夫なモノを作ったゆえにこんな理不尽な理由でマスコミから叩かれたりするのもこれまた居た堪れないハナシ。
モノを大切にすることも重要ですが扇風機なんて安いものなら数千円で買えちゃいます。
いや、数千円だって年金暮らしの老人には大金、それもわかります。わかりますがしかし少なくとも30年前のよりか風力は強いだろうし、電力の消費量もずっと少なくて地球とお財布に優しいんじゃないかと思うんですよ。
「老夫婦の死」、「メーカーの冷ややかな対応」というキーワードから、直情的に「メーカー憎し」という安直な方向に世論が傾かないことを祈るばかりです。
that's all


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