砂かぶりというより泥かぶりやね 〜宇佐美達也&松本健太郎篇〜

 




【砂かぶりというより泥かぶりやね 〜宇佐美達也&松本健太郎篇〜】
安室奈美恵のヒット曲「CAN YOU CELEBRATE?」
「あなたはセレブになれますか?」ってズイブンと挑戦的な曲名ですね。
で、おなじみのヒカコラですよ、こんにちは!(違います)


「はい、どうも〜、日本一の大マジシャンでおなじみのラビット宇佐美こと宇佐美達也(男子2番)ですよ、こんにちは!」

「松本健太郎(男子16番)だ。っておい宇佐美、コリャ一体なんだ?」

「うん、聞くところによると前回のヒカコラからひかり小説館キャラ祭りをやってるらしくてね、んでまあ俺らに白羽の矢がたったってことらしいよ」

「なんで俺がオマエみたいなド派手スーツ男と評論なんぞしなきゃなんねえんだよ。ああ、くだんね、俺ァ帰るぜ」

「チョイ待ち。別にそんな堅苦しく考えなくてもいいんじゃない? 軽い気持ちで行こうって。あ、ところでマツケン、車のキー貸してくんない?」

「あ? 俺のキーなんかどうすんだよ、ってああっ、飲み込みやがった! テメ何しやがる!」

「あほかい。ホントに飲み込むわけないだろ。くさってもマジシャンだぜ」

「くそっ、コラム終わるまで返さねえって魂胆か。ああもうわーったよ。で、今日はなんの話をすればいいんだ?」

「おっ、話が早いね。じゃば早速始めようか。今日のテーマは相次ぐ相撲界の不祥事についてだ。現役陸上選手のマツケンだったら看過できない話題だべ?」

「まあ確かにな。弟子への暴行致死ですげえ話題になってるやつだろ」

「朝青龍の素行不良なんてすっかり霞んじゃったもんね。今盛んに騒がれている政治と金問題みたいに時津風部屋の暴行事件は氷山の一角でこれから次々と発覚してくんじゃないのかな。まさに角界全体がカドバンを迎えているってところじゃない? おっ、俺今うまいこと言った」

「つうかよカドバンとかいうレベルの問題じゃねえだろ。むしろ番付下がる程度で済めば御の字だろうが。相撲協会もよく言えば古風で伝統的、悪く言えば旧態依然ってこったろ。まあ世論は後者にとるだろうな。相撲協会も役所みたいなもんだ、自分らの保身しか考えてねえとか言ってよ」

「相撲協会が時津風親方を解雇した理由に、一人の前途ある若者を死に至らしめたためじゃなくて相撲協会の信用を失墜させたためとか言ってんだから終わってるよね。そう言った会長さんの発言自体が協会の信用を貶めているってことに気づいてないのかな」

「へっ、所詮力士も単なる駒ってこった。時津風親方の処分だって要はトカゲのシッポ切り。理事たちはさして痛くもねえ減俸でお茶濁してるしな」

「きっと土俵の力水も濁ってるね。あ、俺またうまいこと――」

「言ってねえよ、バーカ! つうかマジメな話、ファンがどこまで見放さずにいてくれるかにかかってんじゃねえのか。今、若い奴らがどんだけ相撲観てるかって考えたら実際ほとんど観てねえだろ」

「うん、一理あるね。スター選手の大リーグ流出でプロ野球人気が低下しちゃってるけど、そうは言っても相撲ほど不人気じゃない。受信料でのうのうと運営しているNHKだからこそテレビ中継が続いているけど、民放だったらとっくに切られてる。少なくとも時間短縮で幕内の取り組みだけになってるところだろうね」

「ああまったくだ。テレビ中継が続いているからなんとなく安泰とか思われてるが、いずれは相撲界も資金繰りに苦労するだろうよ。極論すりゃあ今回の騒動は相撲がビジネスとして成立していける寿命をちょっとばかし短くしたに過ぎねえってこったな」

「いっそ相撲まるごとモンゴルに売り飛ばしちゃえばいいのに。そのうち力士の数が減っていってさ、新弟子検査に合格するといきなり前頭からスタートなんて時代が来るかもよ。昔は土俵の下にはカネが埋まってるなんて言われてたけど、今じゃ土俵の下には死体が埋まってるなんて言われかねない状況だもん。誰が好きこのんで力士なんかになろうと思う?」

「おい、宇佐美。そりゃ言い過ぎだろ。てかオマエ結構毒舌だな」

「ははっ、ジョークだよジョーク。ところでこの慣例化された体罰、世間的には行き過ぎだって言われているけどマツケンはどう思う?」

「昔のスポ魂ドラマとかスポ魂マンガっつったら鬼コーチが付きモノだったよな。巨人の星の星一徹なんて息子にバネとか着せてんだぜ。成長期の少年にそんなことしたらスポーツ医学を論じるまでもなく逆効果だよな。あの酔狂ぶりにゃあ星一徹がマッドサイエンティストに見えたもんだ。まあ、ああいう手合いに比べりゃかわいいもんじゃねえのか。しかも力士はガタイがデカイからな。普通の人からしたら怪我するような暴行でも力士だったらそれほどダメージはない場合だってあるだろうしよ」

「まあ、時津風部屋の一件は明らかに行き過ぎた"指導"だったけど、そういう一面も確かにあるだろうね。これから元力士とかのカミングアウトでどんどん発覚しちゃうかもしれないけど、どこまでがセーフでどこまでがアウトなのかは正直微妙だよな。今の世の中的には道具を使った体罰はほとんどアウトって感じの流れだけど、竹刀くらいはまあオッケーだろうし、とすると竹ぼうきもセーフかなみたいなハナシになってくる。やっぱりその辺の線引きは難しそうだよね」

「結局は被害者が肉体的精神的にどの程度傷ついたかが基準になってくんじゃねえか? まっ、それはそれでどうかとも思うがな」

「というか完全にケースバイケースになるでしょ。世論なんて風見鶏そこのけにコロッコロ変わるからね。なんにせよこんな体罰、教育現場なんかに持ち込んだら指導者はいつクビになってもおかしくはない。相撲界だけが昭和のまま時間が止まってるってことだね。それがいいことなのか悪いことなのか。とにかく今後の展開を見守っていこうじゃないの……おっと、そろそろお別れの時間が来たみたい。それでは最後に一言ずつ。まずは俺、宇佐美達也から。俺たちが大活躍する長編小説、勝手にバトロワ未見の方はこの機会に是非読んでみてくださいねっ♪ はい、赤ジャージも一言どうぞ」

「誰が赤ジャージだよ! つかなんで最後に宣伝? ていうか俺ら言うほど活躍してねえし出番もそんなにねえし。あと宇佐美よ、俺の車のキーさっさと返しやがれ!」

「おう、それならほら、最初からマツケンのポケットに」

「……うあっ、テメエ!」

that's all


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