あいつがキレた

あいつがキレた


Written by hiro  

 今日もまた「あいつ」がキレた。
 いつもいつもボクが何かしようとした時にキレる「あいつ」
 「あいつ」がキレるとボクは何もできず、真っ暗闇の世界にポツンと残されてしまう。
 キレてすぐの「あいつ」はいつもあつくて、うかつに近づけない
 キレていないふりをして、じつはキレているなんてのが「あいつ」が好きないじめ方だ。
 一度、カノジョが来ている時にキレてしまって、それが原因になり、ささいなケンカで別れしてしまったのだ。

 でも、普段の「あいつ」はとても明るくて、役に立つヤツだ。
 ショウも、ユウイチロウも、コウタも、口では言わないけどそう思ってるハズ、いや、きっとそう思っている。
 なぜなら、今のボクらの生活は、「あいつ」ナシでは成り立たない。

 だが、「あいつ」の話をするヤツは、ほとんどいない。話題にさえならない。
 みんな知らないのか?、「あいつ」はいたるとこにいる。おそらく、「あいつ」が来ない場所なんて無い。誰かがいるところに「あいつ」は絶対にやってくる。

 キレた「あいつ」は、っていうか普段の「あいつ」でさえ、常に人を見下している。ボクは人に見下されるのが大つ嫌いだ。
 だが、「あいつ」はそんなヤツなんだ、とみんなが感じている。ボクだってそうなんだから・・・

 だけど「あいつ」は気づいていない。キレる事が自分の首をしめていることを。
 「あいつ」はどんな事があっても最後は「キレれば終わり」みたいな生き方をしている。その時、終わりを迎えても
 「あいつ」はおそらく、ずっと変らない。ずっと、ずっと、ずっと・・・・

 そこまで書いていると、また「あいつ」、いや、これだけ近くにいるんだから「こいつ」だろう。
 ともかく、「こいつ」がまたキレた。また真っ暗闇の世界に、逆戻りだ。
 せっかくオマエの事を人間的に書いてるのに・・・・

 下から玄関の開く音がした。多分、母さんだろう。
 ボクは少しため息をつき、暗い部屋を出て少し大きめに言った。
 「母さん、ジュースと、新しい蛍光灯買ってきて」と。
 


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