犬の終局

犬の終局


Written by wz  

「おはよう、ひろし!」
ダイロ大統領失脚から3ヶ月・・俺はいつものように学校に向かっていた。あいつ・・もうちょっと続くと思ったのになあ・・
「ひろし!聞いてる?」もちろん聞こえている。
こいつを追い払うために必死でダイロ(よびすて)のこと考えてたのに・・
「なんか用か?」俺は不機嫌をさらけ出した。
相手はそれを病気とうけとったらしい。
「どっか悪いの?」この始末だ。

話し方は女々しいがこいつは男だ。名はベスリン。
名まで女々しいので、学校ではよく女と間違われる。
そんで俺にまとわりつく。誤解を生む。あっちいけ。
「それでさあ、ひろし〜。前の地震すごかったよね〜。
なんかもう地球規模っていうか・・」おおげさ。
「もうぼくおわりじゃ〜んとか思って・・」
なんか女子高生みたいだし・・
「ひろしのこと何回も考えたりして・・」ホモだし・・
「いいかげんにしろ!」俺の声はでかくなかったが、ドスが効いていた。びびったらしくベスリンは血相変えて学校の方に走り去った。思い知ったか。
「あとでね〜〜〜〜〜」奴は遠くから手を振っている。
何考えてんだか・・

俺の学校はチャクラ第三学校。俺は2−6。
なんだか知らんが、ベスリンも2−6。
見飽きたエドワードせんせが自慢の鼻を濡らしている。
またなんだか知らんがこの犬は犬だ。いつから犬なのか検討もつかない。
「はい、元気だぞ、先生は。みんなは病気にかかっても先生に移すな。調査書に書くからな。」
脅迫じみた朝の会を終え、みんな胃を痛めていた。
「くそ、犬センむかつくな・・今日あたりやるか!?」
みんなこくりとうなずいていた。

「みんな、いいか!?」隊長格の「この兵」がみんなを指揮している。犬センの残業の日を奴の命日にしようという作戦である。もちろん、ひろし、ベスリンも参加していた。ひろしは居残りさせられたこと、ベスリンに至っては、顔をなめまくられたという、なんとも悲惨な恨みがあった。
「よし、突撃!!」一気に殺気だった生徒どもが今とばかりに職員室になだれこんでいった。
「待っていたぞ、諸君!」急に部屋に明かりがついたせいで先頭の集団はとっさに目をかばった。
「しまっ・・」がすこーん。いやな音がして前列5人が窓を突き破ってコンクリートに叩きつけられた。
「一気に5人も・・」
生徒どもから一気に戦意が失われていく。
それは同時に犬に対する恐怖へと転化する。
「きやああああ」「いやだ〜〜〜」「ハイレゾパック?」など狂気に満ちた声が犬の雄叫びにかき消されていく。
「教師に逆らうとこれだもんね〜〜〜!!!」
その雄叫びで3人が泡を噴いて倒れた。恐るべき犬・・
「こら!!犬!!」果敢にも立ち向かおうとする輩もいるものである。もちろん、ひろしだ。
「おまえ、俺はしっぽをとらえているぞ!いいのかな〜?」「うわっ、ほんまじゃ!!」犬はとっさに方言まるだしになったとおもいきや、しっぽでひろしを投げ飛ばした。「とわっ!」
しかし、さすがはひろしである。受け身をとって投げの衝撃をカットしている。「むう、またおまえか!武藤ひろし!!」以前このふたりはグラウンドで一戦交えたことがあった。両者一歩も譲らず、引き分けになっていた。しかし、教師に逆らったにもかかわらず、ひろしが退学にならなかったのはそのときに巻き込まれた生徒の死を事故として発表するためであった。そして、懲りずにROUND2である。

「勝負はこれからだ。」ひろしのパンチが犬の顔面に向け発射された。当然のごとく、犬はそれをよける。
ここで普通、反撃は殴る、蹴るなどが一般的であるが犬は違う。なめる、剃るである。犬は軽くひろしをなめると、ひろしの髪を鋭い牙でむしりとった。
(なめた意味なし。)長髪だったひろしのヘアースタイルは一気にモヒカンに変貌した。「ぐおっ・・」
バランスを崩したひろしはそのまま、前のめりへ倒れた。それをあざ笑うかのように犬。
「ひろし、退学をすすめるぞ。その頭では2、3ヶ月女の子にもてまい。わお〜ん。」
気がつくとみんな犬側についている。
「ひろし、すまん。絶交だ。」「犬、いやエドワード先生の雄姿にほれぼれするわ。」「先生、やっぱペディグリーチャムですね。」などなど。
ひろしは一気に迫害された怒りとモヒカンへの嫌悪と犬への恨みで戦闘能力が100万ぐらい上がっていた。
「ぎざまーー!!!!!!」
ボルテージがMAXになったそのときである。
「ちょっと待ってよ。みんな!元はといえばこの犬のせいじゃないか。おかしいよ!」
ベスリンである。彼が悲しいとみんなも悲しい。
だから、あまり目立たなかったこの兵も悲しい。
「ようし、みんな犬退治だ!!!」
こうして2−6とエドワード(犬)の最終決戦が幕を開けた。 

「みんな感謝するぜ!」ひろしは犬めがけて椅子を投げた。さっきとは比べものにならない威力である。
椅子はまともに犬の顔面をとらえていた。
がぐしゃ、じゅるじゅう。さっきよりも嫌な音がしてつぶれた犬の顔があらわになった。
うわあ、きつう・・
「今だ、突撃!!」この兵はタイミングを見逃さなかった。3人のモップが犬にヒットした。
犬の後頭部からは赤と黄色の混じった液がどんどんでている。「あっ・・」ようやく事態を把握した。
「こいつ、死んでるわ。」
異臭を放つ犬を前にひろしだけが物足りない顔をしていた。しかし、この場でひろし以外にみんなと違う思考をめぐらせる者がいた。
「早く事を進めなくては・・」
 


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